再度「龍は眠る」 宮部みゆき
2008.05.05



一気読みは出来なかったけれど、
読み終えた充実感は高い。

超能力を持った男の子たちと雑誌記者の、目に見えない絆で繋がったある事件簿の話だけれど、

想像を超え、
物語は展開していく。


ただのサイキックものと片付けられない世界観は、
スティーヴンキングを超えていると思う。

「あかんべえ」を読んだときも、ただのホラーで片付けられない世界観を感じたが、
その世界観こそが、
宮部さんの底知れぬ力なのかもしれないと思う。



桜庭さんは、
書くために読む、とおっしゃっていたが、
では私は?
知るために読む、とでも言っておこうか。
自分の周りしか知らない井の中の蛙にならないよう、様々な世界を知るために、私は小説を読むんだろうなと思う。



"我々は身体のうちに、それぞれ一頭の龍を飼っている。底知れない力を秘めた、不可思議な形の、眠れる龍を。"

その龍が起き出さないでと作者は祈っている。
一見、現実離れした願いだけれど、なんとも、切なくて、
人間への愛を感じる。



私の中にも、
龍がいるだろうか。


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